お知らせ
category
2022年1月5日(水):2022年校長年頭あいさつ
明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。
今後の高専教育に関しては、高専改革案に明示しているように、教育カリキュラムが大きく変わります。校名変更(2022年)を機に、コース再編、カリキュラム改革を重視した「体系的学修の新展開」に取り組む事になります。この取組みでは、従来から取り組んできた基本方針、即ち教員による授業の「供給者目線」を脱却し、「学修者目線」 で高専教育を捉え直すという教学マネジメント体制構築への根本的・包括的対応を発展的に継続しながら、更に社会・産業界からの次世代技術者育成教育への要請を強く意識したコース再編とカリキュラム改革を盛り込んだ高専改革案を作成しました。その基となる基本方針は、産業界及び社会からの強い要望を背景に、ICT教育の強化とSDGs教育です(HP参照)。また、これらの方針に沿って、中期目標(3年間;2022~2024年度)の変更も実施しました。
本校に期待するICT(DX)教育への意見として、⑴既存のビジネスモデルを最適化(稼働中の機械の性能の最適化、システムのメンテナンス時期の予測、接続されたシステム全体の運用の管理等)、⑵新たな価値(製品・サービス)の創造(新たな産業やマーケットに進出、サービスのプラットフォーム全体の提供、顧客への独自の価値の提供等)、⑶DXハブ機能(異なる種類のデータ(自然言語データ、営業データ、R&Dデータ)、⑷異なるプログラム言語との連携の可能性、データ収集・データ活用・分析・現場展開のすべてのシーンにおけるハブ機能、⑸既に各部門において構築済みのシステムを活用可能なDXの実現等、が提案されています。本校では、科学技術分野を中心に専門分野特有のデータ収集、データ理解、関係性の読み取りなどを実践し課題解決に資する取組を、産業界と教育機関が個々にそのミッションを達成する従来型から、産業界と連携して、産学共育プログラムの構築により、更に強化する事としました。
従来カリキュラム体系は、一般科目、専門科目(工学基礎科目)、コース専門科目から構成されていましたが、再編後のカリキュラム体系は、一般科目、専門共通科目(ICT教育・SDGs教育)、基盤コース専門科目(各コースごとの専門科目)に、応用専門科目を追加した構成となっています。この構成により、⑴教員による次世代技術者育成に必須の工学倫理・基礎および専門分野の知識・技術の提供と、⑵産業界と連携したデジタル技術・データ分析等を実践可能するICT教育(学内インターンシップ)を産学共育プログラムとして学生に提供できる事を可能としました。特に、新たに導入した学内インターンシップ制度は、学校教育の一環として教授する基盤的技術者スキル(デジタル技術・データ分析等を実践する能力を含む)要請に必須の実習・演習に加えて、産業界で要望されている次世代技術者スキル(特に、ICT関連)を、学生諸君が在学中に学修できる事が可能となっています。
このように、本校が実施予定の産学共育プログラムは、専門共通科目(ICT教育・SDGs教育)、基盤コース専門科目(各コースごとの専門科目)、応用専門科目において、DX教育設備を活用して、継続的・持続的にデジタル技術・データ分析等を実践する実験・実習等のカリキュラムを高度化する教育プログラムを進める今までにない取組となっている点が最大の優位性です。
学生諸君は、100年に一度あるか無いかの大改革の趣旨を十分ご理解頂くと共に、皆さんが社会・産業界で活躍でき、満足できる自己貫徹した人生を全うできるよう尽力する所存です。また、保護者の皆様には、今後とも変わらぬご支援を賜りますよう、切にお願いいたします。
大阪府立大学工業高等専門学校長 東 健司